初の野外開催:ロッキー・ステップスに集まった25万人

フィラデルフィア美術館前に設けられた2017年ドラフトの野外ステージフィラデルフィア美術館前に設けられた2017年ドラフトの野外ステージ

Photo: Dough4872 / CC BY-SA 3.0(2017年4月29日)

注目 | #NFLDraft2017 #Philadelphia #RockySteps #Goodell

2017年のNFLドラフトは4月27〜29日、フィラデルフィア美術館前のベンジャミン・フランクリン・パークウェイで開催された。映画『ロッキー』で知られる通称ロッキー・ステップスを背にした野外ステージで、1936年のドラフト創設以来、屋外にステージが置かれたのはこれが初めてだ。3日間の来場者は25万人に達し、ドラフトとしては過去最多となった。事前の経済効果予測は約8,000万ドルだったが、この人出を受けて実績はそれを上回る見込みと発表されている。一方、コミッショナーのRoger Goodellがステージに立つたびに浴びせられたのは、地元ファンからの容赦ないブーイングだった。それでもGoodellはバリケード越しにファンと握手を交わし、半ば自嘲気味にこの洗礼を受け入れていた。

出典: Philadelphia has record attendance for 2017 NFL Draft (NFL.com) 2017 NFL Draft Exceeded Economic Impact Projections (PA Convention Center) Watch: Roger Goodell booed by fans at NFL draft (SI.com) Roger Goodell gets viciously booed by Philly crowd (FanSided)


全体1位はMyles Garrett:Brownsが選んだ順当な答え

解説 | #MylesGarrett #Browns #No1Overall #NFLDraft2017

Cleveland BrownsがTexas A&M大のエッジラッシャーMyles Garrettを全体1位で指名し、数カ月続いた憶測に決着がついた。直前まで「Brownsはノースカロライナ大のQB Mitchell Trubiskyを1位で選ぶ」という観測が流れていたが、フロントは最も無難な結論に落ち着いた。副社長のSashi Brownは「身体能力が規格外なだけでなく、心理テストや人物評価でも最高スコアだった。24時間フットボールのことを考えている青年だ」と評し、HCのHugh Jacksonも「チーム全体を引き上げる才能」と話す。低迷が続くディフェンスの再建において、Garrettは誰も文句を挟めない1位指名として、出口を求め続けてきたBrownsファンに迎えられた。

出典: 5 takeaways from Day 1 of the 2017 NFL Draft (Cleveland Browns) Winners and losers after Round 1 of the 2017 NFL Draft (NFL.com)


Bearsが全体2位でMitchell Trubisky:HCも知らなかったトレードアップ

速報 | #Trubisky #Bears #TradeUp #DraftDrama

このドラフトで最大の驚きであり、最も批判されたのが、Chicago Bearsによる全体2位でのMitchell Trubisky指名だ。Bearsは自ら持っていた全体3位からSan Francisco 49ersの2位へ上がるために、2017年の3巡目・4巡目と2018年の3巡目を差し出した。上がった順位はわずか1つである。さらに、ドラフト開始の数時間前までJohn Fox HCがこの計画を知らされていなかったと報じられた。大学での先発経験が13試合しかないQBに、フリーエージェントでMike Glennonに大金を払った直後の年にこれだけの指名権を上乗せする判断には、複数のアナリストが最低評価を付けている。フロントとコーチ陣の意思疎通の欠如も含め、Bearsの組織運営そのものに疑問符が付いた一件だった。

出典: 2017 NFL Draft: Biggest surprises of Round 1 (NFL.com) 2017 NFL Draft: 5 Biggest Surprise Moves In First Round (FOX Sports) Winners and losers after Round 1 of the 2017 NFL Draft (NFL.com)


Chiefsが全体10位でPatrick Mahomes:翌年の1巡目を払った先行投資

ルーキーイヤーのPatrick MahomesルーキーイヤーのPatrick Mahomes

Photo: Jeffrey Beall / CC BY 4.0(2017年12月)

解説 | #PatrickMahomes #Chiefs #TradeUp #NFLDraft2017

Kansas City ChiefsはBuffalo Billsとのトレードで全体27位から10位へ17ランク上がり、Texas Tech大のQB Patrick Mahomesを指名した。対価は翌2018年の1巡目指名権。先発QBにAlex Smithを抱えるチームとしては異例の先行投資だ。スカウト陣の評価は厳しく、「今すぐNFLで通用する準備はできていない」「足運びとメカニクスが粗く、きれいなポケットからもすぐ飛び出す」といった指摘が並ぶ。それでもAndy Reid HCとJohn Dorsey GMが買ったのは、元MLB投手を父に持つ規格外の強肩と、Green Bay時代のBrett Favreを思わせるガンスリンガーぶりだった。完成度ではなく伸びしろに賭けた指名であり、当日のグレードは低く付けられたが、「育てば手が付けられなくなる」という条件付きの期待も同時に語られている。

出典: 2017 NFL Draft: 5 Biggest Surprise Moves In First Round (FOX Sports) Winners and losers after Round 1 of the 2017 NFL Draft (NFL.com)


Texansが全体12位でDeshaun Watson:長年のQB探しに一区切り

注目 | #DeshaunWatson #Texans #No12 #NFLDraft2017

全体12位では、Cleveland Brownsからトレードで得た指名権を使ってHouston Texansがクレムソン大のQB Deshaun Watsonを指名した。全米制覇を成し遂げた大学王者の獲得に、ヒューストンは沸いた。前年のBrock Osweilerとの大型契約が失敗に終わり、フランチャイズQB不在に長く悩んできたTexansにとって、全国選手権の舞台でも動じない勝負強さとリーダーシップは求めていたものそのものだ。コンバインでの球速やディープパスの精度には批判も残るが、Bill O'Brien HCのシステムとDeAndre Hopkins、Will Fullerというターゲット陣を考えれば、1年目からの起用が期待できる。Brownsが指名権を下位に売り続けた結果がTexansのQB獲得につながったという意味で、ドラフトの連鎖を象徴する一手でもある。

出典: Winners and losers after Round 1 of the 2017 NFL Draft (NFL.com) 2017 NFL Draft: Quick-snap grades for all 32 teams (NFL.com)


新人GM John Lynchの1巡目:Bearsから指名権を引き出し、狙い通りに2人

解説 | #JohnLynch #49ers #DraftMastery #SolomonThomas #ReubenFoster

GM部門で最も高い評価を集めたのは、San Francisco 49ersの新人GM John Lynchだ。元プロボウルSでフロント経験ゼロという経歴ながら、全体2位を欲しがるChicagoに対して複数チームと交渉しているかのように振る舞い、相手を焦らせることに成功した。結果として順位を1つ下げるだけで、2017年の3巡目・4巡目と2018年の3巡目を引き出し、当初から狙っていたStanford大のDL Solomon Thomasを全体3位で確保している。さらにBearsから得た指名権をまとめて全体31位にトレードアップし、「トップ10級の才能」と評されながら素行問題と薬物検査の陽性反応で順位を落としていたAlabama大のLB Reuben Fosterを指名した。NFL NetworkのDaniel Jeremiahはこれを「このドラフトで最高の指名」と評しており、49ersは自軍のボード上位3人のうち2人を1巡目で手に入れたことになる。

出典: Winners and losers after Round 1 of the 2017 NFL Draft (NFL.com) 2017 NFL Draft: Winners and losers (Sports Illustrated)


John Rossの4秒22:コンバイン最速記録と、Bengalsが背負ったリスク

速報 | #JohnRoss #Bengals #CombineRecord #SpeedRecord

Washington大のWR John Rossがインディアナポリスのコンバインで記録した40ヤード走4秒22は、コンバイン史上最速のタイムだ。2008年にChris Johnsonがマークした4秒24を0.02秒上回るこの数字で、Rossの評価は一気に跳ね上がった。Cincinnati Bengalsは全体9位で彼を指名したが、手術歴が複数あり、膝の状態からルーキーシーズンの出場が危ぶまれる選手に全体9位の価値があるかどうかは意見が分かれている。それでもA.J. Greenの逆サイドを走るディープ専門のスレットとしての破壊力は大きく、Andy Dalton率いるオフェンスに縦の速さを加える補強と位置づけられている。

出典: 2017 NFL Draft: Day 1 quick-snap grades for all 32 teams (NFL.com) 2017 NFL Draft: 5 Biggest Surprise Moves In First Round (FOX Sports)


最初に呼ばれたWRはCorey Davis:計測値なしでの全体5位

解説 | #CoreyDavis #Titans #WR1 #NFLDraft2017

このドラフトで最初に名前を呼ばれたWRは、Western Michigan大のCorey Davisだった。コンバインにもプロデーにも参加していないため、スカウトの手元には40ヤードのタイムも垂直跳びの数字もない。Tennessee Titansが全体5位で彼を選んだ根拠は、大学通算5,278受球ヤード・52TDというFBS歴代1位の成績と、コンタクト後の強さやルートの精度といったフィルム上の評価だけだ。QB Marcus Mariotaの主軸として即戦力が求められる立場だが、計測データがまったくない選手をトップ5で指名するのは異例で、「走るところを一度も見ずにこの順位で獲るのか」という驚きの声も上がっている。

出典: 2017 NFL Draft: Day 1 quick-snap grades for all 32 teams (NFL.com)


トップ10にRBが2人:Leonard Fournette 4位、Christian McCaffrey 8位

会場を埋めたファン(2017年4月28日、フィラデルフィア)会場を埋めたファン(2017年4月28日、フィラデルフィア)

Photo: Jordan Staub / CC BY 2.0

解説 | #LeonardFournette #ChristianMcCaffrey #RBRevival #NFLDraft2017

「RBの価値は下がった」という論調がここ数年支配的だったが、このドラフトはトップ10でRBを2人送り出した。Jacksonville JaguarsがLSUのパワーRB Leonard Fournetteを全体4位で、Carolina PanthersがStanford大の万能型Christian McCaffreyを全体8位で指名している。Tom Coughlin新エグゼクティブVPがラン重視の路線を敷くJaguarsでは、FournetteがBlake Bortlesへの依存を減らす役割を担う。一方のMcCaffreyはCam Newtonの武器として、スロットレシーバーやリターナーとしても使える。タイプの異なる2人が同じトップ10で消えたことは、RBに何を求めるかが一様ではなくなったことを示している。

出典: 2017 NFL Draft: Biggest surprises of Round 1 (NFL.com) 2017 NFL Draft: 5 Biggest Surprise Moves In First Round (FOX Sports)


Alabama勢4人が軒並み下落:「タイド・スライド」と呼ばれた1巡目

解説 | #TideSlide #Alabama #JonathanAllen #NFLDraft2017

2016年シーズンのカレッジフットボールを席巻したAlabama大のディフェンス陣は、ドラフト上位を独占してもおかしくないと見られていた。ところが1巡目で指名された4人全員が事前予想より低い順位に落ち、「タイド・スライド」と呼ばれた。CB Marlon Humphrey(全体16位・Baltimore Ravens)はスピードへの疑問、DL Jonathan Allen(17位・Washington Redskins)は肩関節炎、TE O.J. Howard(19位・Tampa Bay Buccaneers)は大学でのターゲット数の少なさ、LB Reuben Foster(31位・San Francisco 49ers)は素行問題と尿検査のトラブルが、それぞれ理由とされる。中でも話題を集めたのはAllenだ。バージニア州Leesburg出身で幼い頃からのRedskinsファンだった彼が、そのRedskinsに指名された。メディアは「トップ5級の才能を17位で獲った」とWashington側の収穫を強調し、Allenはステージで涙をこらえながらユニフォームを受け取ったと伝えられている。

出典: Alabama Lands Four First Round Picks (Roll Tide) 2017 NFL Draft: Jonathan Allen scouting report (FOX Sports) Winners and losers after Round 1 of the 2017 NFL Draft (NFL.com)


祖母の写真を掲げたTakkarist McKinley:「Fine me later」

速報 | #TakkaristMcKinley #Falcons #DraftSpeech #GrandmaMyrtle

全体26位でAtlanta Falconsに指名されたUCLAのエッジラッシャーTakkarist McKinleyがステージに現れたとき、彼が両手で高く掲げていたのは亡き祖母Myrtle Collinsの大きな写真だった。カリフォルニア州Richmondのギャングが絶えない地域で育ち、祖母とともにフットボールを見ながら非行の道に進まずに済んだMcKinleyは、生中継でDeion Sandersにマイクを向けられると、涙ながらにこう叫んだ。「祖母が亡くなる30秒前に約束したんだ。ディビジョンIに行って、Richmondを出て、NFLに行くって。俺はその約束を果たした」。興奮のあまり「It means every f**king thing to me(これは俺にとって全てなんだ)」と放送禁止用語が生放送に乗ると、続けて「罰金なら後で払ってやる(Fine me later)。クォーターバックを仕留めてやる」と言い切った。Falconsのコーチ陣は、この剥き出しの感情と情熱こそが指名の理由だと語っている。

出典: 'Fine me later': Takkarist McKinley wins hearts with draft speech to late grandma (The Guardian) Richmond native drafted by Falcons, carries photo of grandma to stage (KTVU Fox2)


James Connerが地元Steelersへ:12回の化学療法を経て

注目 | #JamesConner #Steelers #CancerSurvivor #Pittsburgh

Pittsburgh Steelersが全体105位でPittsburgh大のRB James Connerを指名すると、地元のパブリックビューイング会場は歓声と涙に包まれた。2015年、当時21歳だったConnerは膝の重傷に続いてホジキンリンパ腫と診断され、12回に及ぶ化学療法を受けている。治療中もマスクを着けてチームメイトと練習を続け、2016年に復帰。強豪校を破る活躍を見せ、大学通算56TDというACC記録を残した。SteelersのRBコーチJames Saxonは「これは同情の指名ではない。彼が純粋に優れたフットボール選手だから選んだ」と強調する。自分の命を救った病院があり、名を上げた大学がある同じ街のプロチームに入るという結末に、地元は沸いた。

出典: Steelers Pick Hometown Cancer Survivor James Conner In NFL Draft (CBS News Pittsburgh) James Conner Selected by Hometown Pittsburgh Steelers (Pitt Panthers)


Raidersが全体24位でGareon Conley:捜査中の疑惑を抱えたままの指名

速報 | #GareonConley #Raiders #FirstRound #RiskTaking

Oakland Raidersが全体24位でOhio State大のCB Gareon Conleyを指名すると、会場にはどよめきが広がった。ドラフトのわずか数日前にクリーブランドでの性的暴行疑惑が報じられ、警察の捜査が続いている最中の指名だからだ。これだけのレッドフラッグが直前に浮上すれば3巡目以降まで落ちるのが通例だが、Raidersは1巡目で指名するリスクを取った。GMのReggie McKenzieは「我々は独自に徹底した調査を行い、彼が潔白だと確信している」と断言し、Conleyは他球団の求めに応じたポリグラフ検査にも合格したと報じられている。パスディフェンスに苦しむRaidersにとって、本来はトップ15指名も有力視されていた才能はリスクを取るに足る対象だった。疑惑の決着は司法に委ねられており、このドラフトで最も先の読めない指名になっている。

出典: Raiders 'totally convinced' Gareon Conley's name will be cleared (Fox News)


全体253位はChad Kelly:話題性で歴代随一のMr. Irrelevant

注目 | #ChadKelly #MrIrrelevant #Broncos #JimKelly

Denver BroncosがOle Miss大のQB Chad Kellyを全体253位、つまりドラフト最終指名の「Mr. Irrelevant」として選んだ。殿堂入りQB Jim Kellyの甥であるChadは、Alabama大を破りSECトップクラスのオフェンスを率いた才能の持ち主だが、Clemson大時代に監督に反抗してチームを追われ、バーでのトラブルで「AK-47を持って戻ってくる」と脅して逮捕された過去もある。BroncosのGM John ElwayがJim Kellyに直接電話をかけ、「悪い子ではない」という叔父の保証を得てから最終指名を決めたという経緯も明かされ、人事判断の難しさをうかがわせた。アナリストのMike Mayockは「素行と怪我を除けば1〜2巡目の選手だ。Alabama戦のテープの質はDeshaun Watsonに匹敵する」と評しており、最終指名としては異例の注目度になっている。

出典: Broncos tab Chad Kelly as 2017's 'Mr. Irrelevant' (NFL.com) Chad Kelly: Is the Quarterback From Ole Miss a Can't-Miss? (Newsweek)


「不作の年」に3球団がトレードアップ:トップ12で消えたQB

解説 | #QBClass2017 #TradeUp #QBRevolution #NFLDraft2017

「今年のドラフトに確実なフランチャイズQBはいない」というのが、事前のアナリストのコンセンサスだった。それでも蓋を開ければ、Bears(全体2位・Trubisky)、Chiefs(10位・Mahomes)、Texans(12位・Watson)の3球団がいずれもトレードアップでQBを確保している。Bearsは将来の複数の指名権を、Chiefsは翌年の1巡目を手放した。不作と言われたクラスにここまでの対価を払う球団が3つあったという事実は、QBを持たないまま次のシーズンを迎える恐怖が、フロントを通常では考えにくい投資に走らせていることを示している。

出典: 2017 NFL Draft: 5 Biggest Surprise Moves In First Round (FOX Sports) Winners and losers after Round 1 of the 2017 NFL Draft (NFL.com) 2017 NFL Draft: Winners and losers (Sports Illustrated)