Kyler Murrayが全体1位:MLBを断り、身長論争にも決着

Cardinalsでプレーする Kyler MurrayCardinalsでプレーする Kyler Murray

Photo: All-Pro Reels / CC BY-SA 2.0(2020年)

解説 | #KylerMurray #Cardinals #MLB #Heisman

2019年ドラフト最大の焦点は、ハイズマン賞受賞者のKyler MurrayがMLBとNFLのどちらを選ぶかだった。MurrayはOakland Athleticsから2018年MLBドラフト全体9位で指名され、466万ドルのサインボーナスで契約していたが、2019年1月にNFL参戦を表明し、129万ドルを返還する。MLBとNFLの両方で1巡目指名を受けた初の選手となった。もうひとつの論点はサイズで、「5フィート9インチ以下ではNFLの巨漢ラインマン越しにパスを通せない」という懐疑論が根強かった。しかしコンバインの公式計測で5フィート10.125インチ・207ポンドを記録し、Seahawksで成功したRussell Wilsonとほぼ同じ体格だと判明したことで、この議論は下火になる。Arizona CardinalsはKliff Kingsbury新HCのエアレイド・オフェンスに最も合うQBとして彼を全体1位で指名した。2つのメジャースポーツで全体1位級の評価を受けた選手という経歴は、今後も語り継がれることになる。

出典: Kyler Murray - Wikipedia 2019 NFL Combine: Kyler Murray surprises with height, weight and hand size (CBS Sports) Kyler Murray: First Overall, After All. (Now, About Josh Rosen...) (Sports Illustrated)


ナッシュビルに60万人:来場記録を塗り替えたNFL100周年のドラフト

ドラフト週のナッシュビル・ロワーブロードウェイドラフト週のナッシュビル・ロワーブロードウェイ

Photo: RL0919 / CC BY-SA 4.0(2019年4月23日)

注目 | #Nashville #NFL100 #Record

NFL100周年を記念する2019年ドラフトの舞台は、テネシー州ナッシュビル。ブロードウェイ沿いに設けた特大の野外ステージに集まったファンは3日間で延べ60万人を超え、2017年フィラデルフィアの25万人を大きく上回る来場記録となった。直接支出額は1億3300万ドルに達し、前年のダラス開催(7400万ドル)から79%増。総経済効果は2億2400万ドルと算出された。初日の夜には激しい雷雨が会場を襲ったが、群衆はほとんど動かず、雨の中で自チームの指名を待ち続けた。Goodellは「ナッシュビルのファンは、我々の期待を上回るものを見せてくれた」と称賛している。延べ視聴者数4750万人、平均視聴者数610万人という数字も、ドラフトが単なる指名会議ではなくNFL屈指のメディアイベントになったことを表している。

出典: NFL Draft In Nashville Sets Viewership, Attendance Records (Sports Illustrated) Record Nashville crowd hosts most-watched draft (NFL.com) 2019 NFL Draft Generates a Record $133 Million in Nashville (Tennessee Titans)


バチェロレッテ・パーティーとドラフトが重なった週末

ドラマ | #Nashville #Bachelorette #Viral

カントリーミュージックの聖地であるナッシュビルは、結婚前の女性たちが集まるバチェロレッテ・パーティー(独身最後の旅行)の目的地としても人気が高い。2019年4月のその週末、街に60万人のNFLファンが押し寄せたことで、静かな女子旅を計画していたグループは想定外の状況に置かれた。地元メディアの取材に答えた花嫁のCarlaは「私たちはカントリーミュージックを聴きに来たのであって、フットボール好きの男の子たちと過ごしに来たわけじゃない」と話し、ブライズメイドのCindyは「来シーズン、我が家でのフットボール観戦は全面禁止。スーパーボウルもなし。友達の結婚は一生に一度だけど、ドラフトは毎年やっているでしょ」と宣言した。この映像がSNSで拡散し、一夜にしてこの年のドラフト最大のサイドストーリーとして全米で報じられた。巨大化したNFLのイベントが観光都市に持ち込む摩擦を、笑い話の形で見せた一件だった。

出典: WATCH: Angry Nashville bachelorettes become most viral story of NFL Draft (Saturday Down South) NFL Draft ruining bachelorette parties in Nashville (FOX 35 Orlando)


Josh Rosen、1年で放出:全体10位のQBが2巡目と5巡目に

選手動向 | #JoshRosen #Cardinals #Dolphins #OneTwoThree

CardinalsがKyler Murrayを全体1位で指名したことは、前年に全体10位で指名されたばかりのQB Josh Rosenにとって、Arizonaでのキャリアの終わりを意味していた。1巡目10位以内で獲ったQBを1シーズンで見切り、新しいQBを全体1位で指名するという判断はNFLでもかなり異例で、「ワン・アンド・ダン」という言葉がドラフト界隈に広まる。事態はドラフト2日目の4月26日に動き、CardinalsはRosenをMiami Dolphinsへ放出した。見返りは2019年の2巡目(全体62位)と2020年の5巡目のみ。1年前に費やした全体10位の対価としては、リーグ史でも最安値の部類に入る。Kingsbury HCが自らのエアレイド・オフェンスに合うMurrayを強く望んでいたこと、そしてNFLのビジネスとしての割り切りが、そのまま形になった取引だった。

出典: Kyler Murray: First Overall, After All. (Now, About Josh Rosen...) (Sports Illustrated) Kyler Murray - Wikipedia


Daniel Jonesが全体6位:このドラフト最大のリーチと批判されたGiants

論争 | #DanielJones #Giants #Reach #Gettleman

New York Giantsが全体6位でDuke大のQB Daniel Jonesを指名した瞬間、ニューヨークのスポーツバーとSNSは悲鳴と怒号に包まれた。当時のJonesに対するスカウトの一般的な評価は「1巡目後半から2巡目」で、全体6位での指名はこの年最大のリーチ(実力以上の高順位指名)として各メディアから厳しく批判された。GMのDave GettlemanはJonesが持つ「Eli Manningに通じる知性と気質」を評価し、「17位(Giantsのもう一枚の1巡目指名権)まで残っている保証はなかった」と説明したが、ドラフト分析メディアの反応はほぼ一致して否定的で、PFFもGiantsのドラフト評価を低く付けた。指名直後にトレンド入りした「#FireGettleman」というタグが、ファンの心境を表していた。

出典: Giants feared two teams wanted to draft Daniel Jones (NFL.com) Breaking down the selection of QB Daniel Jones (Giants.com) 2019 NFL Draft: Final quick-snap grades for all 32 teams (NFL.com)


Quinnen Williamsの「Bless you, Thank you」

注目 | #QuinnenWilliams #Jets #BlessYouThankYou #Viral

New York Jetsが全体3位で指名したAlabama大のDT Quinnen Williamsは、フィールドでの怪物ぶりとは対照的な一瞬でドラフト史に名前を残した。指名直後の生インタビュー中にくしゃみをした彼は、すぐに自分で「Bless you(お大事に)」と言い、続けて「Thank you(ありがとう)」と返した。矯正器具をつけたまま満面の笑みで受け答えする一人二役がそのまま全国に流れる。この映像は瞬く間に拡散し、ドラフトが終わってからもSNSで共有され続けた。2018年シーズンの支配的なパフォーマンスで評価を高めていたWilliamsだが、この日は選手としてではなく一人の若者としての人柄が最も伝わった瞬間になった。

出典: The 10 Most Viral NFL Draft Moments of the Last Decade (Sports Illustrated) sneeze bless you, thank you (Reddit r/videos)


Christian Wilkinsの全力ハグを受けたGoodell

注目 | #ChristianWilkins #Dolphins #Goodell #Celebration

Clemson大からMiami Dolphinsに全体13位で指名されたDT Christian Wilkinsは、ステージに上がるなり300ポンド超の体でRoger Goodellコミッショナーにタックルまがいのハグを見舞った。明らかに驚いて後ずさりしながらも笑顔でそれに応じるGoodellの映像はすぐに拡散し、FanSidedは「Goodellが受けた史上最も激しいヒット」と評した。Clemsonで全米制覇(2018年)も経験し、大学時代から「エネルギーが止まらない男」として知られていたWilkinsらしい振る舞いでもある。型どおりの握手が続くドラフトの中で、この夜いちばん生々しいやり取りとして受け止められた。

出典: Christian Wilkins nearly gives Roger Goodell a heart attack with his bro hug (FanSided) The 10 Most Viral NFL Draft Moments of the Last Decade (Sports Illustrated)


D.K. Metcalfが2巡目の最後で止まるまで

SeahawksでプレーするD.K. MetcalfSeahawksでプレーするD.K. Metcalf

Photo: All-Pro Reels / CC BY-SA 2.0(2020年12月)

解説 | #DKMetcalf #Seahawks #Combine #DraftSlide

ドラフト前から一枚の写真が話題になっていた。Mississippi大のWR D.K. Metcalfが上半身裸でトレーニングする写真で、「体脂肪率1.9%」という真偽の怪しい数字とともに拡散したものだ。コンバインでは228ポンドの体で40ヤード走4秒33、ベンチプレス27回という数値を出し、一気に注目を集める。一方で3コーン・ドリルの数字が低く、「直線は速いが方向転換に難がある」という見方が各球団に広まり、1巡目確実と見られていた彼は2巡目の最後、全体64位まで待つことになった。Seattle Seahawksからの電話を受けたMetcalfは涙を流し、安堵と悔しさの入り混じった表情を見せた。Seahawks側は「3コーンの数字は気にしない。あのサイズとスピードのWRを2巡目で獲れるなら十分すぎる」という立場だったとされ、ドラフト直後のグレード評価でもこの指名はスティール候補として挙げられている。

出典: 2019 NFL Draft: D.K. Metcalf's freefall ends with final pick of second round (Saturday Blitz) 2019 NFL Draft: DK Metcalf's insane workout numbers (NFL Mocks) 2019 NFL Draft: Final quick-snap grades for all 32 teams (NFL.com)


ドラフト初日に流出したTyreek Hillの音声

スキャンダル | #TyreekHill #Chiefs #Scandal

ドラフト初日の夜、若手が指名される華やかな時間の裏で、Kansas City ChiefsのWR Tyreek Hillに関する音声がメディアに流れた。当時3歳の息子への虐待疑惑が報じられていたHillだが、婚約者に対する脅迫的な発言を含む音声が地元メディアで公開された。The Guardianによれば、そこには「お前は私を恐れるべきだ(You need to be terrified of me)」という言葉が含まれていた。ChiefsはGMのBrett Veachがドラフト進行中に緊急の声明を出し、Hillのチーム活動への参加を即時停止すると発表する。指名される若者たちの歓声と、リーグ屈指のスター選手をめぐる家庭内暴力の疑惑が同じ夜に交錯し、NFLのコンプライアンス姿勢が改めて問われることになった。

出典: 'You need to be terrified of me, bitch': Chiefs' Hill suspended amid abuse allegations (The Guardian) Timeline of Events that Led to No Suspension for Tyreek Hill (Sports Illustrated)


RaidersがClelin Ferrellを全体4位:Mike Mayockの初ドラフト

解説 | #Raiders #ClelinFerrell #MikeMayock #Draft

2019年からGMに就任したMike Mayock率いるOakland Raidersは、全体4位でClemson大のDE Clelin Ferrellを指名し、ドラフト界隈をざわつかせた。Ferrellは大学屈指のDLの一人ではあったが、当時の一般的な評価は「1巡目中盤から後半」で、4位での指名を予想していた者はいない。全体7位でKentucky大のJosh Allen(EDGE)が指名されたことで、「なぜAllenを見送ったのか」という批判はさらに大きくなった。MayockはFerrellを「チームの土台になる選手(Foundational Player)」と呼び、独自の評価軸を強調している。当日の評価は真っ二つで、擁護派は「パスラッシュのモーターは大学最高水準で、実績も本物だ」と評し、批判派は「全体4位のコストに見合うプロスペクトではない」と切り捨てた。他者の評価に左右されない再建方針を内外に示した指名であり、Raidersがどこへ向かうのかを占う一手となった。

出典: Raiders Former First-Round Pick Reportedly on the Trade Block (Raiders Beat) Clelin Ferrell is a cautionary tale not to be too hasty to draft a DE (Reddit r/detroitlions) 2019 NFL Draft: Final quick-snap grades for all 32 teams (NFL.com)


SteelersがDevin Bushへ10順位のトレードアップ:Ryan Shazierの穴を埋める

解説 | #Steelers #DevinBush #TradeUp #RyanShazier

トレードアップを避ける傾向で知られるPittsburgh Steelersが、この年は珍しく攻めに出た。Denver Broncosとの交渉で全体20位から10位へ一気に10順位上がるトレードを成立させたのだ。対価は2019年の2巡目(全体52位)と2020年の3巡目。狙いはMichigan大のLB Devin Bushである。2017年にRyan Shazierが選手生命に関わる大怪我を負って以来、守備の司令塔となるスピード型LBを求め続けてきたSteelersにとって、Bushはその穴を埋められる存在だった。解説陣の多くは「2巡目を手放してまで動くのはSteelersらしくないが、Shazier後のLB事情を考えれば理にかなっている」と概ね擁護している。対価が高すぎるという声も根強いが、今すぐ勝ちにいくという意思表示として受け止められた。

出典: Steelers trade up for Devin Bush; Broncos add Noah Fant (NFL.com) Steelers trading up for Devin Bush looks even worse in hindsight (FanSided)


Iowa大からTEが2人1巡目へ:Hockenson 8位、Fant 20位

解説 | #IowaHawkeyes #TJHockenson #NoahFant #TE

2019年ドラフトは、Iowa大にとっても、タイトエンドというポジションにとっても節目の年になった。Iowa大からT.J. Hockenson(全体8位・Detroit Lions)とNoah Fant(全体20位・Denver Broncos)がそろって1巡目で指名される。同じ大学から2人のTEが同一ドラフトの1巡目で指名されるのは史上初だ。Hockensonは「ブロックとキャッチを高い水準で両立する万能型」、Fantは「WR並みのスピードを持つレシービング特化型」と評価が分かれており、TEに求められるものが広がっていることを示している。アナリストたちは「TEはWRと同じようにパスターゲットとして評価される時代になった」と解説し、両者を同じ1巡目に送り込んだIowa大の育成力もカレッジフットボール界で高く評価された。

出典: 2019 NFL Draft: Final quick-snap grades for all 32 teams (NFL.com) 2019 NFL draft (Wikipedia)


Gardner Minshewは6巡目178位:評価は「良いバックアップ」

解説 | #GardnerMinshew #Jaguars #LateRoundSteal #MinshewMania

ドラフト3日目、全体178位でJacksonville JaguarsがWashington State大のQB Gardner Minshewを指名したとき、多くの人はバックアップ要員の補充と受け止めた。Mike Leach監督のエアレイドで磨かれたパス精度と判断の速さはPFFから高く評価されていたが、肩の強さへの懸念から1巡目から5巡目までまったく声がかからなかった選手である。スカウトの評価も「先発にはなれないが良いバックアップ」でほぼ一致していた。JaguarsにはNick Folesという高額契約の先発QBがおり、Minshewの現実的な目標は3番手から上がってプレシーズンの競争に加わることだった。それでもPFFが「スローイング効率はリーグ平均を上回る可能性がある」と指摘していた点と、指名直後から漂う独特の存在感に、一部のスカウトはひそかに期待を寄せていた。

出典: Gardner Minshew doing all he can to be 'the most ready' rookie QB in the NFL (PFF) The Best Late-Round Steals in Jaguars History (Sports Illustrated)


Dwayne Haskinsが全体15位:地元Washingtonへ

選手動向 | #DwayneHaskins #Washington #OhioState #HomeComingQB

Ohio State大で圧倒的なスタッツを残したDwayne Haskinsは、ドラフト前はKyler Murrayに次ぐQB2番手と見られていた。ところがGiantsが全体6位でDaniel Jonesを選んだことで指名の機会が減り、順位はずるずると下がっていく。結局、全体15位でメリーランド州を本拠とするWashington Redskinsが指名した。地元育ちの選手が地元チームに戻る形になり、カメラの前で「自分を飛ばしたチームには後悔してもらう(Make them regret it)」と語った場面が、そのまま印象的な映像として残った。Washingtonでは当時のJay Gruden HCがウエストコースト・オフェンスを採用しており、Haskinsのフィールドリーディングとパスの正確さはシステムに合うと評価されていた。多くのアナリストは「すぐに先発させるのではなく、1〜2シーズンかけて育てる構想だろう」と予想しており、地元への帰還という要素も含めて、環境としては恵まれた着地点だという見方が主流だった。

出典: 2019 NFL Draft: Final quick-snap grades for all 32 teams (NFL.com) 2019 NFL draft (Wikipedia)


Raidersの中位指名:4巡目Maxx Crosby、5巡目Hunter Renfrow

解説 | #Raiders #MaxxCrosby #HunterRenfrow #DraftSteal

Clelin Ferrellの全体4位指名で物議を醸したOakland Raidersだが、その後の指名でもMayockの路線は変わらなかった。4巡目でEastern Michigan大のDE Maxx Crosby(全体106位)、5巡目でClemson大のWR Hunter Renfrow(全体149位)を確保している。Crosbyはミッドアメリカン・カンファレンス出身ながら、大学でのパスラッシュ技術と運動能力がスカウトの注目を集めていたラッシャーだ。RenfrowはClemsonで2016年シーズンと2018年シーズンの全米制覇に貢献し、2017年1月のタイトル決定戦では決勝TDをキャッチしている。「ルートランニングの精度と大舞台での強さは本物」というのがドラフト直後の評価だった。Ferrellの指名で批判を浴びたMayock体制にとって、この2人の中位指名は評価眼を測る材料として注目されることになる。

出典: Oakland Raiders: Hunter Renfrow could shine as a rookie (NFL Mocks) Raiders Former First-Round Pick Reportedly on the Trade Block (Raiders Beat) 2019 NFL Draft: Final quick-snap grades for all 32 teams (NFL.com)