ベラージオの噴水に架かった水上ステージ:2年越しのラスベガス開催
注目 | #LasVegas #NFLDraft2022 #BellagioFountain
コロナ禍で2020年の開催が幻となってから2年、NFLはようやくラスベガスに戻ってきた。会場はストリップの中心にあるベラージオの噴水の上。建設に13日を要した全長252フィート(約76メートル)の水上ステージは、NFLドラフトの水上ステージとしては過去最大の規模だ。頭上には100万個を超えるLEDピクセルからなるキャノピーが設けられ、全32チームのロゴとトランプのカードをモチーフにした意匠が夜空に浮かんだ。3日間でストリップ地区を訪れたファンは30万人超。カレッジバスケットボールのマーチ・マッドネスに例えられるほどの人出となった。そして華やかな会場の裏では、現代NFLのビジネスとしての側面が容赦なく進行することになる。
出典: NFL gives preview of red carpet stage, draft theater in Vegas (Las Vegas Review Journal) NFL Draft brings free-spending passionate football fans to the Strip (The Nevada Independent) NFL Says 300,000+ Attended Three-Day Draft Event In Las Vegas (LVSportsBiz)
全体1位はTravon Walker:JaguarsはHutchinsonではなく伸びしろを取った
解説 | #TravonWalker #Jaguars #No1Pick #NFLDraft
長らくMichigan大のAidan Hutchinsonが本命と見られていた全体1位を、Jacksonville JaguarsはGeorgia大のDL/EDGE Travon Walkerで決めた。Walkerは大学でのサック数ではHutchinsonに及ばないが、高校時代にバスケットボールでチームを71連勝と州大会連覇に導いたほどの身体能力を持つ。Jaguarsのフロントは、そこにNFLレベルでの伸びしろを見た。全体2位のDetroit Lionsは地元ミシガン州出身のHutchinsonを歓声の中で指名し、続く3位(Texans・CB Derek Stingley Jr.)、4位(Jets・CB Sauce Gardner)、5位(Giants・EDGE Kayvon Thibodeaux)もすべてディフェンス。トップ5が全員ディフェンスで埋まったのは1991年以来のことだ。
出典: Jaguars select Georgia's Travon Walker with No. 1 overall pick in 2022 NFL Draft (NFL.com) The First Read: Winners and losers from Round 1 of the 2022 NFL Draft (NFL.com) NFL draft 2022 1st day summary (AS USA)
Georgia大の守備から1巡目に5人:現行制度で最多
解説 | #GeorgiaBulldogs #DraftRecord #GeorgiaDefense
2021年シーズンの全米王者Georgia大が、ドラフト記録をひとつ更新した。1巡目だけでWalker(全体1位)、DT Jordan Davis(13位・Eagles)、LB Quay Walker(22位・Packers)、DT Devonte Wyatt(28位・Packers)、S Lewis Cine(32位・Vikings)と5人のディフェンス選手が指名され、1校の守備から1巡目に5人というのは現行のドラフト制度(1967年以降)で最多だ。Jordan Davisは体重154kg超ながらコンバインで40ヤード4秒78を記録し、スペースイーターとして期待を集めた。一方Packersは、オフシーズンにDavante Adamsを放出しておきながら1巡の2枚をGeorgia大のディフェンダーで埋めたことで、WR補強を待っていたメディアとファンから批判を浴びた。32位でLewis Cineが呼ばれ、ラスベガスの夜はBulldogsの歓声で締めくくられた。
出典: NFL draft 2022 1st day summary (AS USA) The First Read: Winners and losers from Round 1 of the 2022 NFL Draft (NFL.com) 2022 NFL Draft research: Nine trades, six WRs taken in first 20 picks (NFL.com)
Jetsの1巡目:Gardner、Wilson、Johnsonを高くない対価で3人
速報 | #Jets #SauceGardner #GarrettWilson #JermaineJohnson
Day 1で最も評価されたのはNew York Jetsだった。全体4位でCincinnati大のCB Ahmad "Sauce" Gardner(Darrelle Revis以来と評されるシャットダウンCB)、全体10位でOhio State大のWR Garrett Wilson(このクラスで最も即戦力に近いと見られていた選手)を続けて指名。さらに、トップ10級の評価を受けながら理由の見えない形で残っていたFlorida State大のEDGE Jermaine Johnson IIを、全体26位へトレードアップして確保した。NFL公式アナリストのDaniel Jeremiahが「トップ10プロスペクト」と評した3人を、大きな対価を払わずに1巡で揃えた形だ。GM Joe Douglasの立ち回りは各メディアから高く評価された。QB Zach Wilsonは「What's better than 1 Wilson? 2 Wilsons.」とツイートし、新しいターゲットの加入を喜んだ。
出典: 2022 NFL Draft: Round 1 Recap (Sports On Draft) Jets select CB Ahmad 'Sauce' Gardner, WR Garrett Wilson, DE Jermaine Johnson II in first round (NFL.com)
A.J. BrownがEaglesへ:1巡目の最中に決まった大型トレード
速報 | #AJBrown #Eagles #Titans #TradeAlert
1巡目の指名が進む最中に、会場の話題を丸ごと持っていく動きがあった。Tennessee TitansのエースWR A.J. BrownがPhiladelphia Eaglesへトレードされたのだ。Titansは契約交渉で年間1600万ドルという市場価値を下回る条件を提示しており、Brown側はトレードを模索していた。EaglesはTitansに全体18位と3巡目(全体101位)を渡し、その場でBrownと4年1億ドル・保証5700万ドルの契約をまとめる。Eagles QBのJalen HurtsがFaceTimeの動画を公開してファンを沸かせた。Titansは受け取った全体18位でArkansas大のWR Treylon Burksを即座に指名し、Brownの穴を自前で埋めにかかった。
出典: Eagles receive A.J. Brown in trade; Titans select Treylon Burks with No. 18 pick (NFL.com) 2022 NFL Draft Debrief: A.J. Brown trade fallout; draft winners and losers (NFL.com)
Marquise BrownはCardinalsへ:Lamar Jacksonの反応は「Wtf」
速報 | #HollywoodBrown #Ravens #Cardinals #LamarJackson
同じ夜、もうひとつトレードが動いた。Baltimore RavensがWR Marquise "Hollywood" BrownをArizona Cardinalsへ放出したのだ。RavensはBrownと全体100位を渡し、Cardinalsから全体23位を受け取った。Brownは数カ月前から水面下でトレードを志願していたが、ファンにとっては寝耳に水だった。Brownの親友でもあるRavens QBのLamar Jacksonは即座にTwitterで「Wtf」と投稿し、フロントのチーム編成への不満を隠さなかった。Cardinals側から見れば、このトレードはQB Kyler Murrayへの手土産であり、ディープスレットの確保でもあった。
出典: Lamar Jackson and Kyler Murray tweet both sides of Ravens-Cardinals Hollywood Brown trade (ESPN) 2022 NFL Draft Debrief: A.J. Brown trade fallout; draft winners and losers (NFL.com)
1巡目にWR6人、トレード9件:WR市場が動いた夜
解説 | #WideReceiver #TradeAlert #NFLDraft2022
この夜、ドラフトの構造そのものに関わる動きがもうひとつあった。ベテランWRの大型トレードと、ルーキーWRへの過去最高水準の需要が同時に噴き出したのだ。トップ20以内で指名されたWRは6人(全体8位Drake London・Falcons、10位Garrett Wilson・Jets、11位Chris Olave・Saints、12位Jameson Williams・Lions、16位Jahan Dotson・Commanders、18位Treylon Burks・Titans)。1巡目のトレードは9件に達し、1巡目が独立した日程になった2010年以降で最多となった。A.J. BrownとHollywood Brownのトレードはその流れの象徴でもある。高額なベテランWRを手放し、安価なルーキーWRで置き換えるというキャップ運用が、業界の標準になりつつあった。
出典: 2022 NFL Draft research: Nine trades, six WRs taken in first 20 picks (NFL.com) Cursed team's 'shock' steal; Super Bowl fancy's big hole: NFL Draft Winners and Losers (FOX Sports Australia)
1巡目でRBの指名ゼロ:2014年以来
解説 | #RunningBack #PositionalValue #NFLDraft2022
WRが高騰する一方で、2022年ドラフトはRBの市場価値がどこまで下がったかも示した。Day 1(全体1〜32位)が終わった時点でRBは一人も指名されておらず、これは2014年以来のことだ。「RBは選手寿命が短く、ラインが良ければ無名の選手でも数字が出る」というアナリティクス由来の見方がリーグに浸透し、1巡目という高価な指名権をRBに使わない傾向が定着した。最初のRBが出たのはDay 2で、全体36位でBreece HallがJetsへ、全体41位でKenneth Walker IIIがSeahawksへ向かった。どれだけ才能があっても1巡目でRBを取るのはリスクが高い。その見方が、この年さらに固まった形だ。
出典: 2023 NFL Draft: First-round RBs are becoming more scarce (CBS Sports) NFL Draft 2022 – Live Blog – Rounds 2-3 (Seahawks Draft Blog)
1巡目のQBはKenny Pickettだけ:全体20位という遅さ
解説 | #QBDraft #KennyPickett #Steelers #QBDrought
5人のQBが1巡目に並んだ前年とは対照的に、2022年のQBクラスは事前から評価が低かった。結果、1巡目でQBを指名したのはPittsburgh Steelersだけ。Pittsburgh大のKenny Pickett(全体20位)の一人である。1巡目のQBが1人だけだったのは2013年以来で、最初のQBが全体20位まで待たされたのは1997年以来のことだ。地元の大学のスターが地元のプロチームに指名されるという物語が生まれた一方で、あるリーグ幹部が「おそらく史上最悪のグループだ」と漏らしたほど、このクラスへの評価は厳しかった。
出典: 2022 NFL Draft: QB slide on Day 2 shocks NFL scouts, executives (PFF) 2022 NFL draft - Wikipedia
Malik Willisが3巡目まで:「2着目のスーツは用意していなかった」
ドラマ | #MalikWillis #GreenRoom #DraftSlide #Titans
Liberty大のQB Malik Willisは、強肩と走力からドラフト前には全体2位や6位という評価まで出ており、NFLからラスベガスのグリーンルームに招待されていた一人だった。ところが1巡目の32指名が終わっても名前は呼ばれず、Day 2に入ってもスライドは止まらない。あるAFCの幹部は「なぜ誰も彼を指名しないのか分からない」と困惑を隠さなかった。Willisと家族は「2着目のスーツを用意していなかった」状態でDay 2の夜を迎えることになる。最終的に全体86位でTennessee Titansが電話を入れ、長い待機がようやく終わった。TitansにはベテランQB Ryan Tannehillがおり、すぐに先発を求められずに学べる環境という点では悪くない着地だと受け止められた。
出典: 2022 NFL Draft: QB slide on Day 2 shocks NFL scouts, executives (PFF) Titans trade up to select Liberty QB Malik Willis in third round of 2022 NFL Draft (NFL.com) NFL Draft 2022: Why QB Malik Willis could be a top-10 pick (FOX Sports)
Butkus賞のNakobe Deanが83位:理由は実力ではなく胸の負傷
ドラマ | #NakobeDean #Eagles #MedicalRisk #DraftSlide
Georgia大のLB Nakobe Deanは全米最高のラインバッカーとしてDick Butkus賞を受賞し、1巡目候補としてグリーンルームに招待されていた。しかしドラフトが始まると1巡でも2巡でも名前は呼ばれず、全体83位(Philadelphia Eagles)まで落ちる。関係者によれば、原因は実力ではなく健康面の評価だった。ドラフト前のトレーニング中にベンチプレスで胸筋を痛め、陣営が手術を避けてリハビリを選んだことで、各球団のメディカルスタッフが「中程度から重度のリスク」と判定したのだ。EaglesのGM Howie Rosemanは「数値で上回る選手はいるかもしれないが、彼を指名しない理由がどこにあるのか」と語り、同じGeorgia大出身のJordan Davisとともにディフェンスの中核として迎えた。
出典: Nakobe Dean's NFL draft free-fall reaches third round amid injury concerns (AJC.com) Here's Why Nakobe Dean's Pectoral Injury Caused Drop To Third Round in NFL Draft (Sic Score) Nakobe Dean lands with Eagles in Round 3 after fall due to medical concerns (theScore)
睨み合いを破ったのは全体74位のDesmond Ridder
解説 | #QBChickenRace #DesmondRidder #QBDrought
なぜこれほどQBが避けられたのか。複数のスカウトや幹部の証言によれば、QBを必要とするチームの間で一種の睨み合いが起きていたという。「突出した選手がいない」というコンセンサスの中で、どのチームも上位の指名権を使って外すことを恐れた。この膠着を最初に破ったのはAtlanta Falconsで、Day 2の全体74位でCincinnati大のDesmond Ridderを指名する。それを合図に各チームが動き出し、全体86位Willis(Titans)、94位Matt Corral(Panthers)と続いた。Day 3にはNorth Carolina大のSam Howellが全体144位、Iowa State大のBrock Purdyが全体262位(最終指名のMr. Irrelevant)で指名され、3日間のQBドラマが終わった。
出典: 2022 NFL Draft: QB slide on Day 2 shocks NFL scouts, executives (PFF) Commanders select North Carolina QB Sam Howell to begin fifth round of 2022 NFL Draft (NFL.com)
Sam Howellは5巡144位:かつての全体1位候補
ドラマ | #SamHowell #DraftSlide #Washington
前年のプレシーズンの時点では「全体1位候補」「Baker Mayfieldの再来」とまで言われたNorth Carolina大のSam Howellだったが、チームからスキルポジションの選手が相次いでNFLに去り、最終学年の成績が落ちたことで評価は急降下した。ESPNのMel Kiper Jr.が「3巡目には消えると思っていたが、5巡目まで落ちるとは」とコメントしたほどで、実際の下落は業界の予想を超えていた。全体144位で指名したのはWashington Commanders。オフシーズンにCarson Wentzを獲得済みで、Howellはまず先発争いの重圧なく育成される立場に置かれると見られている。
出典: 2022 NFL Draft: Sam Howell's slide to Washington due to inconsistency, Mel Kiper Jr. says (247 Sports) Commanders select North Carolina QB Sam Howell to begin fifth round of 2022 NFL Draft (NFL.com)
David Ojaboのアキレス腱断裂と、プロデーの映像が呼んだ議論
ドラマ | #DavidOjabo #Ravens #ProDay #NFLBusiness
Michigan大でAidan Hutchinsonと並ぶパスラッシュの脅威として11サックを記録し、1巡目中盤での指名が確実視されていたEDGE David Ojaboが、3月のプロデー中に左アキレス腱を断裂した。この怪我そのもの以上にSNSで議論を呼んだのは、倒れたOjaboの周りにいたスカウトや関係者が声をかける様子もなく、転がったボールを拾って次のドリルに移ろうとする様子が映像に残っていたことだ。元NFL選手のアナリストBucky Brooksは「共感の欠如には腹が立つ。ボールを拾って次に進む前に、誰か彼に声をかけるべきだった」とツイートし、22万件を超える「いいね」を集めた。最終的に全体45位でBaltimore Ravensが指名する。Ravensには大学時代にOjaboを指導したMike Macdonald DCと、高校時代に彼をフットボールに誘った親友Odafe Owehがいた。指名の連絡を受けたOjaboは涙をこらえられなかったという。
出典: Michigan edge-rusher prospect David Ojabo suffered Achilles tear at pro day (NFL.com) Reaction to David Ojabo injury raises questions, reveals truths (NBC Sports) David Ojabo Is Ready To Clear the Next Hurdle (Sports Illustrated)
Cole Strangeを全体29位で:Ramsの首脳陣が思わず漏らした反応
珍事 | #ColeStrange #Patriots #Belichick #McVayReaction
New England PatriotsのBill Belichick HCが、FCSのUT Chattanooga出身のOG Cole Strangeを1巡目全体29位で指名した瞬間、会場に笑いが広がった。事前の評価では「良くて3巡目、おそらくDay 3」とされていた選手である。その映像に反応したのが、前年のスーパーボウル王者Los Angeles Ramsの首脳陣だった。インタビュー中にモニターで指名を知ったSean McVay HCは話を止めて「Strangeが指名されたぞ」と声を上げ、Les Snead GMも「1巡目だと?」と笑いながら「104位(Ramsの最初の指名権)あたりで残っていると思ってビデオを見ていたのに」と続けた。この動画はすぐに拡散し、翌日McVayはBelichickとStrange本人に「嘲笑ではなく驚きと自嘲だった」と釈明している。他球団の評価を気にしないBelichickのドラフト観を示すエピソードとして、今も語られる一件だ。
出典: 2022 NFL Draft: Watch the Rams staff's hilarious reaction to the Patriots surprise Cole Strange pick (CBS Sports) Rams' McVay, Snead's Hilarious Reaction to Patriots' First Pick (Sports Illustrated) Sean McVay explains why he laughed out loud when Patriots drafted Cole Strange (Bangor Daily News)
