「Dez Caught It」とは
  • 出来事: 残り4分42秒、4th&2でTony RomoがDez Bryantへ投じた31ヤードパスは当初キャッチと判定されたが、Green Bayのチャレンジで不成功へ覆った
  • 試合: 2015年1月11日、NFCディビジョナル。Dallas Cowboys対Green Bay Packers(Lambeau Field)— Packers 26–21 Cowboys
  • 当時の判定: Bryantはボールを確保したまま地面へ接触する過程を完了しておらず、当時のRule 8に基づくキャッチが成立しなかった
  • 最大の争点: Bryantがゴールラインへ腕を伸ばした動作を「ランナーになった後のフットボール・ムーブ」とみなせるか
  • その後: NFLは2018年、ボールの確保、両足または別の身体部位、3歩目やラインへの伸展などのフットボール・ムーブを基準とする定義へ変更した

問題のプレーを含む試合ハイライト:

Cowboys vs. Packers 2014 Divisional Round highlights(NFL公式)Cowboys vs. Packers 2014 Divisional Round highlights(NFL公式) — YouTube で見る ↗

1. 26–21、残り4分42秒

2015年1月11日のLambeau Field。2014シーズンのNFCディビジョナルは、12勝4敗同士のDallas CowboysとGreen Bay Packersが対戦した。Green Bayは第4クォーター残り9分10秒、Aaron RodgersからRichard Rodgersへの13ヤードTDパスで26–21と逆転した。

Dallasは自陣18ヤードから反撃した。DeMarco Murrayの30ヤードランなどで敵陣へ入り、残り4分42秒、Packers陣32ヤードで4th&2を迎える。フィールドゴールでは5点差をひっくり返せない。QB Tony Romoは、左サイドをSam Shieldsと1対1で走るDez Bryantへ深く投げた。

試合の舞台となったLambeau Fieldの外観(撮影: JL1Row, 2011, CC BY-SA 3.0, Wikimedia Commons より)試合の舞台となったLambeau Fieldの外観(撮影: JL1Row, 2011, CC BY-SA 3.0, Wikimedia Commons より)

2. 当初は「1ヤード地点でキャッチ」

BryantはShieldsの上からボールを確保し、右足、左足をフィールド内へ下ろしながらゴールラインへ倒れ込んだ。フィールド上の判定は31ヤードのパス成功で、BryantはPackers陣1ヤード地点でダウン。Dallasには逆転TDを狙う1st&goalが与えられるはずだった。

Green Bay HC Mike McCarthyはチャレンジを要求した。映像では、Bryantが左腕に抱えたボールをゴールラインへ伸ばし、地面へ着いた瞬間にボールが動いていた。主審Gene Steratoreはレビュー後、キャッチ不成立へ判定を変更した。

公式ゲームブックには、最初の「GB1まで31ヤードのパス成功」という記録がチャレンジで覆り、不成功になったことが残る。レビュー後のゲームクロックは4分06秒。4th downの不成功なので攻守交代となり、Green Bayが自陣33ヤードからボールを持った。

3. 「キャッチの過程」とは何だったのか

当時のRule 8では、レシーバーがキャッチを成立させるには、ボールをコントロールし、両足または別の身体部位をインバウンズへ着け、ランナーになったことを明確に示すまでコントロールを維持する必要があった。キャッチの動作中に地面へ倒れる選手は、最初に地面へ接触した後までボールを保持しなければならなかった。

Steratoreは試合後、判定の基準を次のように説明した。

"He must complete that entire process with the football, maintain possession throughout."

(「ボールを持ったまま、その一連の過程を完了し、最後まで保持しなければならない」)

肘や膝が地面に着いた時点で即座にプレー終了となる通常のランナーとは違い、判定班はBryantがまだキャッチを完成させる途中で地面へ向かっていたと判断した。そのため、ボールが地面へ触れたこと自体ではなく、ランナーになる前に地面との接触でコントロールを失ったこと が不成功の理由になった。

2015年シーズンのDez Bryant(撮影: Keith Allison, 2015, CC BY-SA 2.0, Wikimedia Commons より)2015年シーズンのDez Bryant(撮影: Keith Allison, 2015, CC BY-SA 2.0, Wikimedia Commons より)

4. なぜ「Dez Caught It」になったのか

論争の中心は、Bryantがボールをゴールラインへ伸ばした動作にあった。Dallas側から見れば、両足を着けた後に行った明確な追加動作であり、すでにランナーになっていたように見える。一方、公式判定は、倒れながら行った一連のキャッチ動作の一部とみなした。

肉眼では捕球に見えるプレーが、規則上の段階を満たさないため不成功になる。このずれがファンの不満を増幅させ、「#DezCaughtIt」という言葉が判定への反論とプレーの通称を兼ねるようになった。

ただし、2018年の規則を2015年へ遡って適用し、「当時の判定が後に公式な誤審と認定された」と書くのは正確ではない。当時の公式結果は不成功のままであり、争点は 2014年規則の適用望ましいキャッチ定義 を分けて考える必要がある。

5. 2015年の整理、2018年の転換

NFLは翌2015年、従来の「競技上の動作(act common to the game)」という言葉を整理し、選手が「明確にランナーになった」と示すまでコントロールを維持する表現へ変更した。しかしリーグの説明では、この変更後もBryantのプレーは不成功になる扱いだった。2015年の文言整理を「Dezのキャッチを認めた改正」とすることはできない。

大きな転換は2018年に起きた。オーナーは32対0で簡素化されたキャッチルールを承認し、要件を次の3点へ整理した。

  • ボールをコントロールする
  • 両足、または足以外の身体部位をインバウンズへ着ける
  • 3歩目、ライン・トゥ・ゲインへボールを伸ばす動作、そのような動作を行える状態などのフットボール・ムーブを完了する

同時に、旧規則の「地面へ倒れる過程を最後まで生き残る」要件は削除された。NFL公式は改正の説明でBryantのプレーを、見た目にはキャッチでも不成功とされた代表例として明示した。新しい基準では、ゴールラインへ伸ばした動作がフットボール・ムーブとなり、キャッチと扱われる方向へ規則が変わったのである。

6. 判定の後に残ったもの

攻守交代後、Green BayはDavante Adamsへの26ヤードパスなどで2度の1st downを更新し、Dallasへボールを返さず試合を終えた。Packersは26–21でNFCチャンピオンシップへ進出した。

このプレーが判定だけでなく規則そのものの象徴になった理由は、映像を何度見ても「捕った」という直感と、当時の条文が求めた「キャッチの過程」の間に距離が残ったからである。フェイル・メリーが審判制度と同時キャッチ判定を象徴したように、「Dez Caught It」はNFLがキャッチをどう定義するかを問い続けた短い言葉になった。

2018年の改正は、この一場面の勝敗を変更しなかった。その代わり、同じ動作を将来どう裁くかを変更した。公式記録では不成功、現在の考え方ではキャッチに近い。その二つが同時に成り立つことこそ、この論争の核心である。

7. 出典

Dallas Cowboys at Green Bay Packers — 2014 NFC Divisional Gamebook
NFL公式ゲームブック — 得点、時計、4th&2の当初判定とチャレンジ後の公式記録
static.nfl.com
2014 NFL Rulebook
NFL Football Operations — 当該試合で適用されたRule 8のキャッチ定義
operations.nfl.com
Referee: Dez Bryant catch incomplete once ball hit ground
NFL.com, 2015年1月11日 — Gene Steratoreによるレビュー判定の説明
nfl.com
Game Recap: Cowboys' Season Comes To An End With 26–21 Loss In Green Bay
Dallas Cowboys公式 — 試合の流れとチャレンジ後の結末
dallascowboys.com
2015 NFL Rulebook
NFL Football Operations — 翌シーズンに整理されたRule 8の文言
operations.nfl.com
NFL teams unanimously approve simplified catch rule
NFL.com, 2018年3月27日 — 32対0で承認された新要件とDez Bryantの事例
nfl.com
How the Dez Bryant no-catch call changed the NFL forever
ESPN, Tom Junod, 2022年11月11日 — 判定から規則改正までの回顧
espn.com