NOLAノーコール (NOLA No-Call) - 2018 NFCチャンピオンシップ
Ames · 2026年7月14日
- 出来事: 2019年1月20日のNFCチャンピオンシップ、20–20の第4クォーター残り1分49秒。RamsのNickell Robey-Colemanが、SaintsのTommylee Lewisへボール到着前に接触したが、反則はコールされなかった
- 見逃された反則: NFLのオフィシエーティング部門は試合直後、ディフェンシブパスインターフェア(DPI)と、無防備なレシーバーへの不正なヒットの両方がコールされるべきだったと認めた
- 試合結果: Saintsは直後のFGで先行したが、Ramsが残り19秒で同点。延長戦でRamsが26–23と勝ち、Super Bowl LIIIへ進出した
- 制度への影響: 2019年に限り、コールされたPIと見逃されたPIの双方がリプレー対象になった。オーナー投票は31–1だった
- 結末: 101件のPIレビューのうち判定変更は24件。基準の不透明さと一貫性への批判が続き、制度は1シーズンで終了した
問題のプレーの映像:
The Worst No-Call Ever — Saints vs. Rams — YouTube で見る ↗1. Super Bowlまで、あと一勝
2018シーズンのNFCチャンピオンシップは、New Orleans SaintsとLos Angeles Ramsの13勝3敗同士の対戦だった。2019年1月20日、Mercedes-Benz Superdomeには7万3,028人が集まった。Saintsは第1クォーターを13–0で終えたが、Ramsが追いつき、第4クォーター終盤は20–20の同点になった。
残り約5分、Drew BreesとSaintsは自陣30ヤードから攻撃を開始した。Alvin Kamaraへのパスで3rd downを更新し、Ted Ginn Jr.への43ヤードパスでRams 13ヤード地点へ進んだ。2ミニッツ・ウォーニング後、ランで前進できず、続くパスも不成功。残り1分49秒、3rd&10を迎えた。
事件の舞台となったMercedes-Benz Superdome。写真は試合の約5か月後(撮影: Steve Aynes, 2019, CC BY 2.0, Wikimedia Commons より)
2. 残り1分49秒、3rd&10
Saintsはショットガンからスナップし、バックフィールド右にいたLewisがサイドライン方向へホイールルートを走った。Ramsのセカンダリーはスナップ前に受け渡しが乱れ、反対側から追いかけたRobey-ColemanはLewisに遅れて近づいた。
Breesのパスがまだ空中にある間に、ボールを見ていなかったRobey-ColemanがRams 6ヤード付近でLewisへ体当たりした。Lewisは捕球を試みる前に倒され、パスは不成功。近くに複数の審判がいたが、フラッグは出なかった。
ボール到着前にNickell Robey-ColemanがTommylee Lewisへ接触した瞬間(映像: Fox Sports, 2019, CC BY 3.0, Wikimedia Commons より)
Robey-Coleman自身も試合後、Lewisに抜かれ、TDを防ぐために早く接触したと説明した。NFL.comには「I was beat(抜かれていた)」という言葉が残っている。本人も反則を覚悟していたプレーが、そのまま不成功パスとして処理された。
3. 一つのプレーで見逃された二つの反則
最も明白だったのはDPIだった。守備選手がボールをプレーせず、ボールの到着前に対象レシーバーの捕球機会を大きく妨げればPIになる。反則ならスポット・ファウルで、SaintsはRams 6ヤード付近から自動的に1st downを得ていた。
もう一つは、頭頸部への接触を伴う無防備なレシーバーへの不正なヒットだった。HC Sean Paytonによると、試合直後にNFL上級副社長(オフィシエーティング担当)のAl Riveronから電話があり、リーグ側はPIとヘルメット・トゥ・ヘルメットの二つを見逃したと説明した。Paytonが伝えたRiveronの第一声は「We messed it up(われわれが間違えた)」だった。
NFLは5日後、無防備なレシーバーへの不正なヒットを理由にRobey-Colemanへ2万6,739ドルの罰金を科した。Commissioner Roger GoodellもSuper Bowl前の会見で、審判は人間であり、あの判定を見逃したと認めた。
それでも試合中に訂正できなかったのは、当時のリプレー制度ではPIの有無そのものがレビュー対象ではなかったためである。映像がどれだけ明瞭でも、存在しないフラッグをリプレーから新たに追加する権限はなかった。
4. 誤審は決定的だったが、試合は終わっていなかった
反則がコールされていれば、Saintsは敵陣深くで新しい4回の攻撃権を得た。Ramsに残っていたタイムアウトは一つで、Saintsは時間を大幅に減らしてから短いFGを狙えた。ESPNの試合モデルでは、その時点のSaintsの勝利確率は98%と見積もられている。
ただし、これは勝利が完全に確定という意味ではない。スナップミス、ターンオーバー、FG失敗、残り時間でのRamsの反撃は、確率が低くても残っていた。「誤審がSaintsから非常に有利な終盤状況を奪った」ことと、「反則なら勝敗は100%確定していた」ことは分けて考える必要がある。
実際のSaintsは4th&10となり、Wil Lutzが残り1分45秒で31ヤードFGを成功させ、23–20とした。キックオフ後、Ramsの攻撃開始時には1分41秒が残っていた。Jared Goffのパスで前進し、Greg Zuerleinが残り19秒で48ヤードFGを決めて同点にした。Saintsは残り15秒からの攻撃でニーダウンを選び、試合は延長へ入った。
Saintsは延長のコイントスに勝ったが、Dante Fowler Jr.が投球時のBreesへ接触し、浮いたパスをJohn Johnsonがインターセプトした。最後はZuerleinが57ヤードFGを決め、Ramsが26–23でSuper Bowl進出を決めた。Saintsにもノーコール後の勝機はあったが、それは見逃しの重大さを消すものではない。
5. 31–1で導入されたPIレビュー
判定への反発はNew Orleansにとどまらなかった。Saintsのシーズンチケット保有者らは試合の再実施などを求めてNFLを提訴し、リーグは裁判資料でも反則がコールされるべきだったことを認めながら、審判判断を理由に法的救済を求める権利はないとして却下を求めた。試合結果が覆ることはなかった。
2019年3月、NFLオーナーはPIのコールとノーコールをリプレー対象にする暫定ルールを31–1で承認した。反対はCincinnati Bengalsのみだった。各ハーフ残り2分まではHCがチャレンジでき、最後の2分と延長ではリプレー・オフィシャルがレビューを開始する。フィールド判定を変更するには「明白な映像証拠」が必要とされた。
これは単に一つの判定を修正する変更ではなかった。PIは接触の程度、ボールへのプレー、捕球可能性を総合する判断型の反則である。そのコールだけでなく、フラッグが出なかったプレーまで映像から裁き直す仕組みを、NFLは初めて本格的に導入した。
6. 一年で終わった制度と、残った教訓
2019年レギュラーシーズンにはPIに関するレビューが101件あり、判定が変更されたのは24件だった。ノーコール74件では21件が変更された一方、コール済み27件で覆ったのは3件にとどまった。数字以上に問題となったのは、一見似た接触でも判定が維持されたり覆ったりし、「明白」の境界が見えにくかったことである。
シーズン前半9週ではPIに関するレビュー63件のうち9件しか変更されず、HCや選手から一貫性への不満が相次いだ。映像は接触の時点を示せても、その接触が捕球機会をどれほど妨げたかという主観的判断までは自動化しない。現場とリプレーで二重の基準が生まれたという批判も強まった。
ルールは最初から2019年限りの試験導入だった。Competition Committeeは更新を支持せず、オーナー投票にも進まないまま2020年に失効した。NFLは、NOLAノーコール級の明白な誤りを救済しようとしてレビュー範囲を広げたが、そのために日常的なPI判断まで再審理する難しさに直面したのである。
NOLAノーコールは、誤審を映像で直せる範囲にも限界があることを示した。2012年のFail Maryが代替審判を生んだ労使制度への警告だったのに対し、こちらは「判断型の反則をどこまでリプレーへ委ねるか」という設計問題を残した。試合の記録はRamsの勝利のままでも、NFLのルールブックを一年間だけ書き換えたノーコールだった。
7. 出典
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